私も黒が大好きです。なにしろ、ほかの色と組み合わせやすいし、着るだけで大人の色香も漂わせることが可能。さらには、春ならシルクやコットンやリネン、寒い季節になればカシミアやベルベットなど、素材感を楽しむのにもうってつけの色でもあります。けれど、黒を着ていればいいというわけではありません。シックに見えるから、とりあえず黒を選んでいるのなら、それは黒に対して失礼です!ほかの色を着るより無難だからというなら、それはオシヤレ欲減退の兆候です!汚れが目立たないからなどというのは、うーん、もってのほかです!いや、わかりますよ、黒を万能カラーだと思う気持ちは。コーディネート刑事である私にとっても、黒は「困ったときの救世主的カラー」。洋服選びに困ったら、とりあえず黒だと思いますし、着こなしの配色に困ったら、とりあえず黒を合わせてみますし、ね。でも、実は、そこがおしゃれの盲点なんです。黒は、七難を隠すようでいて、逆に難点を際立たせる可能性もある色。たとえば、素材感のよしあしは、はっきりと際立ってしまいます。洗濯しすぎて色が槌せた黒いカットソー、セールで買った染めの浅い黒いシャツなどは、着ている本人より、見ている他人のほうが気になるもの。そして、シルエットのよしあしも、まるで影絵のようにしっかりと際立ってしまいます。「黒は永遠のベーシックカラーだから大丈夫」などと過信していると、ちょっとした襟の大きさやウエストをシェイプしたシルエットの古さが目立ちます。「黒は引き締め色だから大丈夫、などと思っていると、ピタピタのニットが逆にしっかりと輪郭を描いて、内に秘めた二の腕やら背中のお肉やらを露呈することになってしまいます。